ACCESSのメリットとデメリット

ACCESSは小規模向けのデータベースソフトです。
使いこなすと非常に便利なソフトウェアですが、どんな業務でもACCESSが最適というわけではありません。
今回は、ACCESSのメリットとデメリットをご紹介します。
こんにちは。
はこにわガジェット (@hakoniwagadget) です。
ACCESSを使った売上管理、顧客管理などのデータベース開発を行っています。
ACCESSは使いこなすために少しスキルが必要なものの、うまく活用すればExcelよりも業務の効率化が図れます。
この記事ではACCESSの基本的な使い方をご紹介していきます。
ACCESSのメリット
ACCESSを利用すると以下のようなメリットがあります。
低コストでデータベースを構築できる
通常、データベースを構築しようとすると専用のソフトウェアの購入や、システムの開発にかなりのコストがかかります。
また、開発作業自体もプログラミング言語がわからないとできないため、自分で簡単に作るということは難しく、専門の業者に発注する必要があるでしょう。
その点、ACCESSであればライセンス費用は低価格で、かつ画面操作でデータベースを作ることができるので初心者でも利用可能です。
このように、低コストでデータベースを構築できる点がACCESSの大きなメリットでしょう。
大量のデータを管理できる
上記で記載したように、ACCESSは簡単に利用できるデータベースソフトウェアでありながら、Excelと比べれば圧倒的に大量のデータを高速に処理することが可能です。
Excelで数万件のデータを処理するのはかなり難しいと思いますが、ACCESSであれば可能です。
また、複数人でデータを利用した際のデータの重複や上書きの制御なども可能です。
それは、データベース専用の機能をACCESSが有しているからです。
Excelではデータの管理に限界がきていると感じた場合に、ACCESSへの移行は大きな効果があるでしょう。
入力しやすい画面を作ることができる
Excelで複数の利用者にデータを入力させる際、入力規則などを設定したとしても複雑な入力ルールを徹底させるのは意外と難しいものです。
ACCESSでは、入力画面そのものを作成することができます。
入力の便利さだけを追求した入力画面を作ることで、入力時のミスや疑問の発生を防ぎ、入力効率を劇的に向上させることが可能です。
ACCESSはもともとフォームと呼ばれる入力画面を複数作成して、画面遷移しながら利用する形態を基本としていますので、入力者にとってはExcelよりも分かりやすい画面を作れることがメリットです。
利用者による改変・データ破損を防ぐことができる
Excelで社内のデータを管理している際、誰が触ったかわからなけれどデータが壊れていたり、設定した書式や関数が消えていたり、ということはないでしょうか。
ACCESSではこうした事故を防ぐことが可能です。
それは、ACCESSでは入力内容やルールを決めるための開発者用画面と、一般の入力者用の画面が分かれているためです。
入力者用画面からでは、どうやっても入力ルールを勝手に変えたりボタンを削除したりすることができません。
また一部のデータにロックをかけて変更できなくすることも可能です。
このため、不用意にデータを壊されたり、設定しておいた機能が消えるということを防ぎつつ複数人でデータを共有することが可能です。
ACCESSのデメリット
一方で、ACCESSにはデメリットもあります。
ライセンスの購入が必要
ACCESSはOfficeソフトですが、パソコンを購入した際にプリインストールされていることは少ないでしょう。
プリインストールされているのは、Word、Excel、PowerPointまでで、ACCESSは別途購入しなければいけないことがほとんどだと思います。
1本で2万円超のコストですので、この購入費用はデメリットの一つとなります。
これを利用人数分購入することを考えると結構なコストになってしまいます。
しかし、安心してください。
ACCESSでデータベースを開発する人には正規のライセンスが必要ですが、データの入力や検索、帳票の印刷など利用するだけであればRuntimeという無料のソフトウェアをインストールするだけでACCESSを利用可能です。
そのため、企業内でACCESSを利用する際のコストが非常に大きくなってしまうということはないでしょう。
1ファイルで2GBが上限
ACCESSは簡易的なデータベースソフトであり、データはWindows上のファイルで管理されます。
ACCESSのファイルの拡張子はaccdbもしくはmdbです。
これらのファイルは、Windowsのファイル容量に関する制限を受けるため、1ファイルの容量は2GBが上限です。
そのため、データ量が多くなってくるとACCESSのファイルを分割して管理する必要が出てきます。
本格的なデータベースソフトウェアであればこうした問題はありませんが、ACCESSがWindowsベースの安価で簡易なデータベースソフトウェアであるが故の問題点です。
しかし、実運用上は年度ごとにACCESSファイルを切り替えるなどの対処を行うことで運用が可能です。
インターネット越しの共有が困難
ACCESSはWindows上のファイルを使ったデータベースです。
複数人での利用はもちろん可能ですが、基本は社内LAN、社内ネットワーク上での共有となります。
現在一般的となっているクラウドサービスのような、Webブラウザを経由してACCESSを利用したりデータを共有することはできません。
また、リモートデスクトップで他のPCからACCESSファイルのあるPCにアクセスして利用することもかなり困難です。
それは、ACCESSが基本的にクライアントソフトウェアであるため、利用時にACCESSファイルのあるPCからアクセス元のPCにすべてのデータをいったんダウンロードしてから処理するためです。リモートデスクトップの通信速度でこれを行うとかなり処理が重く、実用に耐えないためお勧めできません。
このように、インターネットを経由した今どきの共有はできない点には注意が必要です。
Windows以外では利用できない
ACCESSはマイクロソフトが開発したデータベースソフトウェアということもあり、Windows以外のOSでは動作しません。
MAC OSやAndroidなどのOSでは動作がサポートされないですし、Webブラウザ上での操作もできません。
そのため、社内で複数のOSが混在するような環境で利用することは少し難しいでしょう。
一方で、ACCESSにもデメリットはあります。
Excelよりもとっつきにくい
ACCESSを利用する際の一番のデメリットはこれだと思います。
Excelであれば周囲に知っている人も多く、わからないことがあれば聞けるのですが、ACCESSを知っている人は限られているため、自分で学ぼうと思ってもハードルが高いというのが一番のACCESSのデメリットです。
しかし、プログラミング言語を一から学んでデータベースを構築するのに比べれば、ACCESSはOfficceソフトの一つですので操作方法も直感的にわかりやすく、学べる環境さえ整えば習得はできるでしょう。
Excelの方が得意なこと
ACCESSは大量なデータの管理や入力画面の整備といった点ではExcelに勝るソフトウェアですが、すべての業務・機能においてACCESSの方が優れているかというとそうではありません。
Excelの方が使いやすいというケースもあります。
例えば、以下がACCESSはとても苦手です。
1.列数や項目が可変する入力画面
ACCESSは列が固定化されたうえで、行を増やしていくというデータ構造が基本になっています。
そのため、列側が可変になるデータは扱うことが難しいのです。
例えば、カレンダーのように月によって日付を列に表示したいという場合には、列の項目名(日付)や項目数が毎月可変になります。
こうした画面をACCESSで作るには標準機能だけでは実現できず、VBAでかなりのプログラミングが必要になります。
2.クロス集計をもとにした入力画面
上記とも関連しますが、ACCESSではExcelでいうピボットテーブルのようなクロス集計が苦手です。
クロス集計クエリという機能でクロス集計はできるのですが、その結果を画面に表示してそこから入力作業などができるようにするにはかなりの開発が必要になります。
クロス集計によって、行数、列数がいくつになるかわからなくなってしまうのですが、ACCESSはそのあたりまでを開発時点で考慮して作っておかないと、ユーザー側で柔軟に改変することができないためです。
ACCESSの利用に向いている環境・業務
ここまでお話ししたメリット・デメリットを踏まえると以下のような環境・業務がACCESSの利用に向いています
複数人で大量のデータを参照・更新する
最も適している業務は複数人で大量のデータを参照・更新する業務です。
売上管理や請求書発行、顧客管理や在庫管理、生産工程管理などなど。
もちろんExcelでもこうした業務の管理はできますが、複数人での更新においてはデータが多くなると動作が重い、誰かがデータや機能を壊してしまう、というったリスクがあり、ACCESSが向いています。
ルール化された定例処理
次に、ルール化された定例処理が向いています。
これはACCESSに限らず、ExcelでもマクロやVBAで対応可能ですが、数万件程度の大容量データを扱う際はACCESSの方が圧倒的に早くて安心です。
売掛金の消込処理や在庫の棚卸、決算時の翌月繰越処理や毎月の月謝の売上計上など。
人が手動で行っている定例処理を自動化することで大きな業務効率化が見込めます。
自社独自の業務フローがある
業務の効率化という観点では、まず最初に導入を検討するのは該当業務専用のパッケージソフトやクラウドサービスでしょう。
これらは業務に必要な機能が整備され、バージョンアップなども定期的に行われるためとても便利です。
一方で、パッケージソフトやクラウドサービスは一般的な業務フローに合わせて作られているため、どうしても自社の業務フローにマッチしない部分も出てきます。
こうした場合にソフトウェア側を変更することは難しく、ソフトに合わせて業務フローを変更する必要があります。
ACCESSであれば自社の業務フローに合わせてソフト側を変更することが可能です。
そのため、自社独自の業務フローがあり、パッケージソフトやクラウドサービスの導入が難しい場合に適しています。
WindowsのPCで事務所で行う作業
該当の業務を行う人の端末がWindowsのみの場合に適しています。
さらに、Webブラウザを通したクラウドでの共有などはできませんので、ネットワーク内にあるファイルサーバでデータを共有することになります。
そういった意味ではPC以外にタブレットやスマホも利用してどこからでも情報にアクセスしたい、という業務にはあまり向いておらず、事務所で決まった人が行う業務の効率化に向いています。
結果的に、営業部門やマーケティング部門よりも、経理部門や生産管理部門などの業務に向いているといえます。
以上を加味して、ACCESSをどの業務で利用するか検討されるとよいでしょう。
以上、ACCESSのメリットとデメリットをご紹介しました。
ACCESSを使いこなせば、業務の効率化や自動化が実現できます。
しかし、自分でACCESSを学ぶには時間がない、難しそうで不安、という方も多いでしょう。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。